偶然の出会い・・・これも何かのご縁かも


今日、突然一人の耳の不自由な方が、職場に僕を訪ねてこられた。

連絡をもらったものの、まるっきり見当もつかず「そんな人知らないんだけど・・・」と、ちょっと不思議な気持ちで玄関に行ってみると、何枚かのFAX用紙の束を持ったおじさんが、「この名前は、貴方ですか?」と一生懸命に筆談で話して下さった。よく見ると、いつもAustraliaの姉妹校の先生から届くFAX用紙だった。

「どうして、これが貴方のところに来たんですか?」と、思わず声を出して聞こうとするが、そうだ、書かないと伝わらないんだと思い直し、紙にペンで書き、読んでもらう。「お宅のFAX番号は何番ですか・・・?うちは○○○−△△57です」。「ここは、○○○−△△51ですけど・・・」

よく見ると、姉妹校の先生が事務室の担当者に送信を頼もうとして書いた番号が、どう見ても「△△51」じゃなく、5と1がくっついて「△△57」に読める。どうやら、先生はうちの学校の番号を正しく書いたつもりらしいが、事務がそれを読み間違えて、誤った宛先に送信してしまったらしい・・・。

昨日付の着信で、4月の日本訪問日程の変更を知らせる重要な文面だった。いくら番号が1つ違っただけとはいえ、もし全く気にしないようなところに届いていたらそれっきり・・・、こうやって手元に届くなんてことは、なかったかもしれない・・・と思うと、本当にありがたいことだと、感謝せずにはいられなかった。

親切な人のところ、おまけにすぐ近くの人のところだったことが幸いして、大切な連絡が、間違いなく僕の手元に届いた・・・。なんだか、すごくあたたかいものがこみ上げてくるような感じがして、うれしくなった。人柄のいい、優しそうな、素朴なおじさんの笑顔が、とても印象的だった。

その後、FAXを受け取り、お礼を言って、お名前と住所を伺って、その場は終わった。

でも、この出来事がいつまでも頭に残った・・・。
偶然とはいえ、このことに、何か運命のようなものを強く感じてならなかった。

帰り道、ちょっとしたお礼の品に手紙を添えて、家を尋ねた。呼んでも返事がないので、そっと玄関の扉をひくと、スルスルと開いた。中を窺うと、すぐ奥の部屋に明かりがついていて、おばさんが縫い物をしている姿が目に入った。向こうもすぐに僕に気づき、なんだろうといった顔で玄関に出てこられた。今日出会ったおじさんの<奥さん>のようで、同じように耳が不自由だった。

話してもダメなので、お礼の手紙を見せながら、笑顔で感謝の気持ちを伝えた。読んだとたん、すぐにわかってもらえたようで、おばさんもパッと表情が明るくなった。「そんな・・・、お礼なんてとんでもない・・・」ってことだったが、さらに気持ちを伝えようと、もう一枚、あらかじめ書いていった手紙を見せた。「今日の出会いは、きっと何かのご縁だろうと思います。どうかこれからも、一人のお友だちとしてお付き合い願えませんか・・・」

残念ながら、おじさんは留守だったが、おばさんはその手紙を丁寧に受け取って下さった。「ウチの主人は、もう年寄りです。貴方みたいなお若い方と友だちなんて・・・」。確か、そんなことをいっておられたように思うが、家におじゃまさせてもらって、より一層、このおじさん、そしておばさんの心が伝わってくるような気がして、なんだかとても清々しく、あたたかい気持ちになった。

夜、8時半頃、持ち帰り仕事をしていたら、一通のFAXが届いた。おじさんからだった・・・。

こんばんは! 本日は、初めてお会いしてFAXを渡しただけで・・・(中略)・・・。
お互いに助け合ってすることは一番よいことですので、迷惑をかけることはありません。当たり前のことです。それで仕事がスムーズに進められるとのこと、よかったですネ! 話は変わりますが、毎日、女の子の高校生と共に行動(勉強、運動、会話など)するわけですが、楽しい仕事だナ〜と思えて、イイナ〜と感じます。今後、お付き合いできれば・・・と嬉しく思います。

最後の方は思わず笑ってしまったが、あたたかい文面に、また今日の出来事がよみがえってきた。なんだか、とてもいい出会いができた、ステキな一日だった。



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