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●ドイツの教育 |
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ケンプテン(Kempten)市
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ケンプテンは、北緯47゜43′、東経10°19′、ドナウ川の支流のイラー川沿岸、ドイツ最南部に位置する、人口6万2千人の都市である。バイエルン州の南西部、アルゴイ地方の政治・経済・文化の中心地で、InterCity(都市間特急)とInterRegio(地方都市間特急)の2種類の鉄道、およびA7・B12などの高速道路によってドイツやスイスの各地と結ばれた、交通の要衝でもある。
市の歴史は2千年前のローマ時代にまで遡り、今もその面影を残す歴史的な建造物が残っている。古い建物や街並みを大切にし、生かしていこうというスタンスで街づくりが行われ、歴史的な建造物が数多く保存・維持されている「OLD・TOWN」を中心に市街化が進められている。
また、市内および周辺には約50〜60の学校があり、”学校の街”ともいわれている。約2万人の生徒、学生がおり、約1万人は市内在住、残りの1万人が周辺地域から通っている。
私たちが訪問した10月の平均気温は7℃で、日本よりずっと低く、昼間でも外出時にはコートが要ることが多かった。雨は比較的少なく、年間の降水量は日本の約三分の一である。滞在中も、一度も雨は降らなかった。日照時間は季節によって大きく変わり、夏は夜9時頃まで明るいが、冬は夕方5時頃から暗くなってしまう。10月下旬では日の出も遅くなり、学校が始まる朝7時半頃、ようやく空が白み始めるという状態だった。
街の特色
ケンプテンの街は、3つのエリアからなっている。1つめは、街の中心部である「OLD・TOWN」である。ここには、ローマ時代の遺跡、中世の教会や宮殿、あるいは城壁や砦、さらには市庁舎などがある。これらの外観は必要に応じて修復されたり、改装されているが、内装は昔の造りをそのまま残しているものが多く、可能な限り昔のままの姿を止めようとしている。道路は、ほとんど石畳のまま残されており、広い石畳の市庁舎広場は人々がくつろぐ憩いの場となっている。この「OLD・TOWN」には、ほとんど住宅は見られない。
2つめは、「OLD・TOWN」の周囲を取りまく、新しい街並みのエリアである。ここにはデパートや学校、オフィス、アパートなどが立ち並び、駅や工場、リゾート施設などもあり、活気のある地域である。しかし、この新しい街並みと、かつては城壁で囲まれていた「OLD・TOWN」との境界はしだいに曖昧になりつつあるようだ。
3つめは、その外側に広がる周辺地域で、ほとんどが牧草に覆われ、牛などが飼育されている。緑豊かなこのエリアの中に、人口100人規模の小さな村が点在し、立派な一戸建ての住宅が建ち並んでいる。ふつう、これらの村々には教会が1つずつあり、市民を結びつける場となっている。このエリアに住んでいる人の話だと、「市の中心部よりも、緑豊かで静かな郊外の方が住みやすい」ということである。市の中心部も環境の良い、美しい街だが、住む環境としては緑豊かな郊外の方を選ぶということだろう。
さらに、ケンプテンを語るには”美しい街”であることを強調する必要がある。建物そのものが美しいことは先にも述べたが、電柱がなく、電線や電話線が埋設されている関係で、景色ががスッキリしているのが印象的である。また、ゴミもほとんど落ちていないので、道ばたや川も美しい。各家庭におけるゴミの始末も、地下室などに「ガラス」「金属」「プラスチック」「紙」「ビニール」別のゴミ箱が用意され、分別収集が徹底していることをうかがわせる。
教育の概要
バイエルン州独自の教育システムがあり、カリキュラム等も州で決定される。ほぼドイツ全土のものと同じであるが、宗教教育については教会が内容の決定から教育まで、そのすべてを担当している。
1945年以前は官僚体制下での教育であったが、1945年以降は民主主義下での教育が行われており、教育の基本構想は第2次世界大戦前後で大きな差異が見られる。現在では、学校教育の中で民主主義を育てることに重点が置かれ、キリスト教に基づく人権や責任感、国際理解、郷土愛を基本にした教育が行われている。ただ知識を詰め込むだけではなく、自分で考え、自分の力で物事を成し遂げる過程で心と性格の形成を図ることを主たる目的としており、「頭と心の教育」と称されている。
そのため、授業も教師からの一方的なものではなく、自主性や自立心を養う授業がグランデシューレの段階から行われている。また、リアルシューレでは「合科」も試みられている。
一方、外国語教育にも重点が置かれ、グランデシューレの段階から、英語、フランス語、イタリア語の授業が試みられている。また、25カ国にも及ぶ多数の外国人生徒がおり、多くの生徒はドイツ語の能力が不足しているので、母国語による補習も実施されている。
人々の日常生活
10月下旬ともなると、ケンプテンの夜明けは大変遅い。日本では、もう十分に明るくなった7時頃でさえ、まだ真っ暗な状態である。その中に、通勤をする人たちや通学する子どもたちの姿がある。ドイツの学校では、ごく一部の例外を除いて午前中に授業が終了するので、必然的に子どもたちの登校時間は早くなる。
学校の授業が始まり、職場での仕事もスタートする頃になると、街の人通りは極端に少なくなる。次に、町に人があふれるようになるのは、ランチタイム(おおむね12時〜14時)の時である。街角では、テイクアウトのサンドイッチやハンバーガーを買い、歩きながら頬張っている人の姿が見受けられる。ランチタイムには、郵便局や銀行、その他多くの店も閉まってしまう。
土曜日や日曜日は、大半の店が休みになる。たとえ営業していても、1日のうちの数時間に過ぎない。また、日曜の朝は、教会に向かうお年寄りの姿も目につく。電動車椅子に乗ったおばあさんにも出会い、印象的だった。
夜になると、映画館の前が若者でいっぱいになる。映画館は、若者にとって数少ない娯楽施設の一つである。
その他、ケンプテンに滞在していて気づいたことを何点か述べておきたい。
第一に、自動販売機がタバコ以外は全く見当たらなかったことである。日本ではいとも簡単に手に入る缶ジュースや缶コーヒー、缶ビールなどを、街角で入手することはできなかった。「空き缶のないアルゴイ(行政区の名称)」というキャッチフレーズの通り、缶や紙パックではなく、瓶による販売がとられている。
第二に、スーパーやデパートで買い物をしても、ほとんどビニール袋をもらえないことである。最近、日本でも資源保護の立場から、そのような取り組みも始まってはいるが、ドイツではすでにそれが徹底して行われている。
第三に、店の入り口の表示である。ローラースケートの絵に×印がついた表示を多く見かけたが、これはローラースケートのままでは店には入れないということを意味している。裏を返せば、それだけローラースケートの人(大半は若者)が多いということになる。確かに、たくさんのローラー族が目についた。また、店先で犬の引き綱をひっかけるものをよく見かけた。犬を連れている人が多いというのも一つの特徴である。
ケンプテンには8日間滞在した。ドイツで最も古い街だという言葉通り、古い街並みを生かした、落ち着いた街であった。人々は親切で、人情味が感じられた。車を運転する人は、横断歩道に人がいれば間違いなく止まるし、慣れない土地で道がわからずに悩んでいる私たちを見かけると、進んで教えてくれたりもした。人々のあたたかさが感じられる、住みやすい街である。
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