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 養護学校



学校の概要

 約20年前に開設された、私立の養護学校である。ケンプテン北方郊外の静かな住宅街の一角に位置し、特徴的な三角屋根の校舎で、木材を随所に用いた造りになっている。暖かさを感じさせる、やさしい建物である。
 バイエルン州の憲法にある「子供は学校に通う権利がある」という考えのもとに、ケンプテンの周辺30〜40キロの地域から、就学前〜5年生までの生徒約100名がバスで通学している。一般的な身体障害のみをもつ生徒は普通学校へ通学しているので、ここには精神的な障害をもつ生徒、あるいは身体的・精神的にいくつかの障害を併せもった生徒が主に通学してくる。クラスは14に分かれており、1クラスおよそ10名の生徒で構成されている。
 ここで働くのは、大学で4年間かけて資格を取得した教員(一般の教員は3年で資格が取得できる)で、報酬もそれに応じて支払われている。教員以外に、治療担当の教員も配置されており、特殊なプログラムで教育が行われている。
 学校の経営資金は「身体ならびに各種の障害をもつ人たちのための協会(直訳)」から出ており、親の負担は子どもたちの昼食代だけである。


授業のようす

 時間的な都合もあり、5グループに分かれて授業を参観した。私のグループは水泳の授業だった。心地よい音楽が流れる、設備の整ったきれいなプールで、4名の生徒に先生が一人ずつ付き、水の感触を肌で感じながら体を動かす訓練をしていた。どの生徒も、先生の介助で気持ちよさそうに顔をほころばせ、簡単な道具を使って精いっぱい身体を動かしていた。
 授業に使われていたプールはさほど大きくない(4m×4m)が、非常に設備が整っており、水温・室温ともに設定した温度で自動的にコントロールされる。水深も、スイッチ1つでプールの底が油圧で上下することで、自由に変えられるようになっている。また、脱衣場やシャワー、トイレなどの付帯設備も充実しており、障害をもった子供たちに優しい配慮がなされ、かつ介助する教員にとっても使いやすい工夫が凝らされていた。
 授業見学後、学校内の施設を一通り見学した。どの部屋もずいぶん広く、明るいのが印象的だった。経費節約のため、各種の工作機械がハンドメイドで作られているのも特徴的だった。生徒たちが作業機械の操作を通じて作業内容を理解することにポイントが置かれており、挟む、押さえる、穴をあける、切る、磨くといった一連の作業が生徒一人の手でできるように、さまざまな工夫が凝らされていた。


意見交換

 卒業後の進路については、身体障害のみの生徒は普通の就職をするが、この学校の卒業生のほとんどは、月に100マルク(DM)程度の収入がある作業所に就職する。作業所は年金や保険もかけられており、親元を離れて生活するために宿舎(共同アパート)も完備されている。
生徒が孤立しないように、一般の学校との交流も積極的に行われており、さまざまな形で外部とのコミュニケーションが図れるような配慮がなされている。
 一般的な障害者の学習課程は、6歳まで幼稚園に通い、その後、この学校のような施設で15・16歳まで学習し、卒業後は先述の作業所のようなところで特別な訓練をしながら18・19歳ぐらいまで過ごしている。
 学校の経営資金を出している協会の構成員は約300名で、その中には徴兵後の義務として働いている人もいる(ドイツでは、徴兵後一定期間、このような施設で働くことが義務づけられているとのこと)。年間予算は約1200マルク(DM)である。