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心あたたまる話をひとつ・・・。少し時期はずれかな?
1ドル87セント。それで全部だった。乾物屋や八百屋や肉屋でケチケチ値切って、そんなしみったれた買い方を無言のうちに避難されて顔から火の出る思いまでして、貯めた銅貨だった。そして、明日はもうクリスマスだった・・・。
アメリカの作家、オー・ヘンリーの書いた短編小説『賢者の贈り物』の最初の部分だ。デラとジムという貧しい生活をしている夫婦が、お互いクリスマスプレゼントの交換をしあう。でも、そのプレゼントを買うだけのお金がない。
この夫婦には、自慢の宝が2つある。ジムが祖父の代から受け継ぎ、愛用している金時計と、デラの流れるように美しい、ガウンのような長髪だ。今年のプレゼントには、それぞれの宝物にふさわしいものを贈りたいと、お互いが思っていた。
彼女は古びたジャケットを着て、街路に出た。「かつら一式」の看板が出ていた。足を止めて、マダムに言った。「私の髪を買って下さる?」。マダムは慣れた手つきで髪の毛を持ち上げながら答える。「20ドルね」。「では、すぐ下さい」。デラはそのお金を手に、店という店をくまなく探した。そして、とうとう見つけた。まさにジムのために、ジムの持つ金時計につけてこそ価値のあるプラチナの時計鎖を・・・。代金は、21ドルだった。
やがて、ジムが帰ってくる時間になった。食事の支度はすでに整っている。贅沢な料理ではないが、デラの心のこもったディナーが並んでいる。ドアが開いた。ジムが入ってきた。だが、ジムはその場でピタリと動かなくなってしまった。
「ジム」とデラは叫んだ。「そんな目で私を見ないで。私が髪を切って売ったのは、あなたにプレゼントもしないでクリスマスを過ごすなんて、できなかったからなのよ。また伸びるわ。仕方がなかったのよ・・・」。
「髪を切ってしまったのか」「君にはもう髪がないと言うんだね」。髪を切ったから、ジムは怒っているのだろうか。デラは不安でならなかった。
ジムはオーバーのポケットから包みを取り出して、テーブルの上にポンと置いた。「僕を誤解しないでくれ、デラ」「髪を切ろうと、そんなことで妻のことが好きでなくなるようなことはないさ。だが、その包みを開けたら、僕がどうして唖然となったか、理由がわかるよ」。白い指が、すばやく包みを開いた。すると・・・。
そこには、櫛が入っていた。デラがかねがね憧れていた、横髪と後髪用のセットの櫛が。それは本物のべっ甲の、ふちに宝石をちりばめた、美しい櫛だった。売ってしまった、あの美しい髪にさすのに似合いの色だった。高価なものだとわかっていたので、持てるとは夢にも思わないで、ただ欲しくて憧れていただけだった。それが、今、デラのものになった。でも、その櫛を飾る黒髪は、すでに・・・。
今度は、デラがジムにプレゼントを渡す番だ。デラは、それを手のひらに載せて、いそいそと彼に差し出した。
「しゃれてない? ジム。街中探して、見つけてきたのよ。これからは一日に何百回も時間を見ないではいられなくなるわ。さあ、時計を出して!! 時計につけたらどんなに美しいか見てみたいわ」。
ところが、ジムは言われたとおりにしないで、ソファに寝転がると、頭の後ろに手を回して、ほほえんだ。「僕たちのクリスマスプレゼントは、しばらくしまっておこう。僕は、その櫛を買うお金をつくろうと思って、あの時計を売ったんだ・・・」。
さて、どうだっただろう。物語そのままの文章と、説明がごっちゃになってしまったかもしれないが、ストーリーはわかっただろうか。
お互いが相手のプレゼントを買うために、自分の一番大切なものを売ってまで、お金をつくった。でも、皮肉なことに、相手にはそのプレゼントを生かせるものがなくなってしまっていた・・・。だって、相手にプレゼントしたものは、相手の一番大切なものを、より引き立たせるものだったのだから・・・。
何のことはない、ただの作り話じゃない・・・と言えばそれまでだけど、自分がデラの立場だったらと考えてみてほしい。こんな、あたたかな思いやりができるなんて、すごくステキなことだと思わない?

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