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  ここを見ている・・・、ほんの小さな心配りなんだけどね


 ある銀行の部長さんが、こんなことを話しておられました。商店などから融資の申し込みがあると、必ず銀行の方から調査に出かけるのだそうです。そして、その商店の“靴の脱ぎ方”をまず見るのだそうです。脱いである靴が、きちんとそろっていればまず合格。反対に乱暴に脱いであったら、いかに店がきれいに飾ってあっても、融資をするのは考えものだと判断する・・・というのです。
 なぜ、そんなにも靴の脱ぎ方を気にするのでしょう。つい、ウッカリ・・・ということもあるでしょう。でも、実は靴の脱ぎ方には、その人の性格や生活態度が、すごくよく表れるからなんです。みなさんも幼い頃を思い出すと、何度となく親から「きちんと脱ぎなさい」なんて言われたことがあるでしょう。僕にも、子どもの頃、祖父母などから何度も叱られた記憶があります。それほど気にしてほしいことなんです。だから、この銀行の場合も、店員や家族の靴が乱暴に脱いであっても、それを気にかけないような店主では、当然、商品管理や金銭の扱い方、ひいては店の経営そのものに対してもズボラだというふうに考え、とても融資なんてできないと判断するのでしょう。
 また、こんな例もあります。長野県の松本市に、ある事務用品メーカーが営業所をつくり、周辺地域の事務用品店に取引してもらえるよう、販売開拓を行っていたとき、一つだけ、市内でも一番大きな文具店が、どうしても取引に応じてくれませんでした。ベテランセールスマンが出向いても、「昔からの取引があるから、変える気はない」の一点張り。営業所長も「もう、あきらめよう」と言い出す始末でした。
 ところが、ある日、新人セールスのA君が、わずかですが、その店から注文をもらってきたのです。そして、その後も彼が出向くと、少しずつ注文が増えていきます。やがて、お中元の時期になり、営業所長がこの店へ挨拶に行ったとき、「なぜ、うちのAが注文をいただけるのでしょうか」と尋ねたところ、店主はこう言いました。「それはね、Aさんは店に来ると、いつも子どもたちの履物や乱れた商品を、必ず直していくからです。そこまで気のつく人なら、取引しても、必ず店のためになるような品物を持ってきてくれるという安心感がもてますから・・・」。

 さて、どうでしょう。この二つの例とも、作り話でも何でもない、ある経営雑誌のようなものに載っていた、実際にあった話です。
 このような“靴の脱ぎ方”に限らず、私たちの生活の中では、一見何でもないような、ささいなこと一つで、自分が、あるいは自分の属している集団が、まわりの人たちから判断されることが意外に多いものです。知らず知らずのうちに人に判断されているなんて、なんだか恐ろしい気がしますが、それほど注意しなければならないことだともいえるでしょう。言葉づかい、挨拶、態度など、社会人として常識といわれている事柄の数々は、そのまま今のみなさんにも当てはまることです。すぐには身につかないことかもしれませんが、ふだんから気をつけたいものですね。