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  半端じゃないぞ!“プロ根性”


 みなさんもよく知っている武田鉄矢さんが、ある映画の撮影中の出来事をこんなふうにもらしていました。
 彼の初主演となった『幸福の黄色いハンカチ』で、お腹のすいたペンキ屋の青年がラーメンを食べるシーンがあったそうです。ところが、何度やってもNGが出るばかりで、自分は一生懸命やっているつもりなのに、どこがおかしいのか、台本と違うことをやっているのならともかく、間違っていないはずなのに・・・と、さっぱりわけがわからなかったといいます。
 すると、監督の山田洋次さんがこう言いました。「腹のすいた労働者は、テーブルにどんぶりを置いたまま、口をつけて食べるもんだ。君はちっとも人間を見ていない」。
 なるほど、一回でOKが出ました。主演の高倉健さんは違いました。彼は、撮影のある前から何も食べていなかったのです。「まずいラーメンでも、腹がへっているから、ガツガツ食べる。役者としての根性が違うと尊敬しました」と鉄矢さんは言っています。
 また、こんなこともありました。鉄矢さんがロケ現場に来る一週間前に、長女が生まれました。当然、赤ちゃんの様子が気になります。彼が自宅へ電話を入れようとすると、「あなたは独身の役をやっているのです。役になりきってもらうため、家族への電話はやめてください」と、当然のように叱られました。
 役になりきるということは、私生活をすべて切り離したうえで、初めて可能になるものなんだなと、役者としての大変さ、プロ根性を、いやというほど思い知らされたということです。
 役者の世界では、こういう話はいくらでもあります。役柄に合わせて長かった髪の毛を切ったとかいう話、みなさんの中にも芸能雑誌などで読んだことがある人がいるでしょう。太るとか痩せるとか、役によって体型を変化させることなんて当たり前。人相を変えるために歯まで抜いたとか、口の中に詰め物をしたとかいう話も、以前どこかで聞いたことがあります。
 「役者って大変なんだなあ・・・」、そう思う反面、それこそが役者の努めだという気もしますが、みなさんはどうでしょう。広く芸能界全般について、見かけほど華やかな世界ではないことは誰もが認めるところでしょうが、その裏で積み重ねられている大変な努力を忘れてはいけません。
 しかし、このことを、私たち普通の人間に当てはめたらどうなるでしょう。自分の責任、与えられた仕事、今の立場・・・・(みなさんであれば、勉強やクラブかな?)に、自分を犠牲にしてでも一生懸命打ち込めということになるのではないでしょうか。表面だけ、口先だけでなく、実際の行動として、少しでもこの精神を見習っていきたいものですね。